FAQ(良くある質問)
小食:腹八分に病なし
○ ベンジャミン・フランクリンは『13の徳目』の第一に節制を挙げ、
「頭が鈍るほど食べてはならない・酔って浮かれだすほど飲んではならない」
と言っています。
○ 水野南北(節食開運説を唱えた江戸時代中期の観相学者)は、
「食を節することは幸運を招来する法として万に一つの誤りがない」
と言っています。
○ 貝原益軒(江戸時代の本草学者・儒学者)は『養生訓』の中で天年を長く保つために行うべき”十二少”(少なくすべきことの12項目)の第一に、
「食を少なくすること」
を挙げています。
○ 東洋のあらゆる学問の背骨を成し人生における物事を正す指針とされている『易経』には、”水沢節”の卦に
「節せざるの嗟(なげき)とは、また誰をか咎(とが)めん」
(節制できないために失敗したことを嘆いても誰のせいにもできない…)とあります。
○ アメリカでは、1980年代から生活習慣病の原因となる「5S」を断つ運動:「5S追放運動」が続けられています。5Sとは;
SALT(塩)
SUGAR(砂糖)
SNACK(間食)
SMOKING(喫煙)
SITTING(座りっぱなし)
を指します。生活習慣病を克服するにはまずは自己管理に目覚めて実行すること。わかっちゃいるけどやめられない、などとノンビリしているうちに・・・
天行健なり君子は自彊してやまず
○ 木村次郎右衛門さん(116歳没、検証済みの歴代世界最高齢の男性、京都府京丹後市、1987年4月19日-2013年6月12日)は、2012年4月19日に115歳になられて「お天道様のお恵みの賜物でございましょう」と、114歳の誕生日には「すべてを天にゆだねる」と語られ、113歳の誕生日には「理想は120歳。難しいかもしれませんが、難しいところに価値があります」と力強く語ったいわれます。その木村さんは
「食細くして命永かれ」
をモットーにしていたそうです。
○ 糖尿病や心疾患などの慢性疾患患者では、標準体重の人よりも肥満や過体重の人のほうが長生きするという「肥満パラドックス」。これは、肥満に影響を及ぼす体重歴と喫煙歴の二大因子のバイアスを完全に無視しています。重病の人は死期が近づくと体重が減る傾向にあること、喫煙は代謝を亢進させるため体重を減らす作用があること、これらのことを考慮していません。肥満パラドックスを否定する最近の研究は、Stokes A,et al.2015 Sep 30; doi: 10.1002/oby.21239。
○ 天台宗の名僧 慈眼大師天海大僧正(没年107歳(数え年108歳)、134歳説!?もある)は、
徳川秀忠に、
「長命は、粗食、正直、日湯(毎日きちんと風呂に入る)、陀羅尼(お経)、ときどきご下風(屁)あそばさるべし」
徳川家光に、
「気は長く、務めはかたく、色薄く、食細くして、心広かれ」
と長寿の秘訣を説いたといわれます。
咀嚼:よくかんでいただくこと
1)腸管L細胞分泌ホルモンGLP-1・PYYは咀嚼回数が多いと分泌亢進(第46回欧州糖尿病学会EASD 2010;GLP-1はインスリン分泌刺激、PYYは食欲を抑えて食べる量を減らす)
2)食べる速さが速いほど肥満や糖尿病になりやすい(第22回日本疫学会 2012;エネルギー摂取量で層別化し検討)。
3)断食で各種がんの進行が抑制されることがマウスの実験で示されています(Science Translational Medicine 2012)。この結果は、標準治療で効果が得られない進行がん患者にとって特に意味のある知見であると考えられています。
脳の活動に必要なものは、十分な時間を経て食物が吸収されて得られた糖質と十分な酸素です。
満腹により内臓に大量の酸素が必要とされます。このとき脳や四肢を活動すると内臓に十分量の酸素が供給されず胃腸に虚血をきたし痛みが発生します。
満腹にして走って腹痛が起きることは多くの人が体験します。毎朝のグランド走り込みでいつも腹痛を起こす小学生はいませんか。
(…子供は外で遊ぶのが好きだ。給食もそこそこに食べ終わるとすぐに校庭で駆け回ったりする。とても喜ばしく大事なことではあるが、運動によって交感神経活動が優位になり、せっかく摂取した食物の消化がうまく進まないといった負の側面もある。行き過ぎれば腹痛につながることもあろう。…、鈴木郁子;昭和大学医学部客員教授)
脳には何よりもまず酸素が必要なのであり、また空腹時には最も記憶力が高まることが示されています(空腹時に胃から分泌されるホルモン『グレリン』が記憶力を活性化させる、他にhttp://news.mynavi.jp/news/2016/07/20/373/)。
食育の重要性が叫ばれていても、その多くは「三食しっかり食べましょう」などの栄養摂取論のみ。とくに朝食摂取は無批判に脅迫的に唱えられている状態。「朝食推進派のデータは信頼性に問題がある。また、データの解釈にも研究者の先入観が働いている可能性がある。」(アラバマ大学バーミンガム校、アンドルー・ブラウンら)
「早寝、早起き、朝ご飯」というスローガンを守っても、ゲームをしながらだらだらと間食し続けたり、ひどい姿勢で食物に感謝しないで満腹になるまで食べ続けていて、朝だからといってなぜ直ぐ食事をとる必要がありますか。夜9時10時に夕食(もはや夜食)を摂る習慣の成人が、子供らに対するこのスローガンを真面目に守り朝になったからとまた無理矢理食べる必要は全くないでしょう。午前中に朝食抜きで行われる胃検査で食物残渣を認めることもあるのです。前日の夜ご飯が胃袋にまだ残っているということです。
朝食推進派の人たちは個々人の習慣を無視してこれを広めないでいただきたいものです。
それにしても「姿勢、感謝、腹八分目」は風化し忘却の彼方とは嘆かわしいではありませんか。
遠絡療法は、体表上の定点を押圧する手技を主として、化学合成物質、生薬、鍼などは使用しません。
ーーーー 遠絡療法の特徴 ーーーー
1)本経は倒馬針以外は使用しない。
2)治療の全過程で技法の補瀉と選穴の補瀉を用いる。
3)選穴の補瀉では五ゆ(肉月(偏の月)に兪)配穴法などの無効なものは捨て去っている。
4)手掌上の天干定位や運気論(季節や時間の特性が人体に影響することを示す理論)を常用する。
5)君火相火の相互関係および他干との関係を初めて明らかにした。
6)絡穴の意義を初めて明らかにした。
7)手技を行う経絡の左右の決め方、反対側の治療穴を用いる経絡は何かを初めて示した。
8)五行では説明できない問題を、相火を独立させて6要素に構築し直すことで理論的にうまく証明している。脈診で左側の生数と右側の成数とが分離されていることに違和感がなくなる。『難経』の理論では、障害五行が木のときに食傷・財・官・印の作用が成立し、他の五行(火土金水)においては四つの作用(食傷・財・官・印)のどれか一つが常に成立しない。したがって、難経は臨床でほとんど使えない。
9)一般に流布されている特効穴の多くは、本理論によって有効である理由を示すことができる。
10)治療法は記号化された複数の式で表現される。式を見れば治療の順序や手技が確認でき、処方箋として他の治療者に伝えることができる。
古典に散在しながらも臨床にどう使用するのかほとんど不明だった理論が明らかにされ新たな体系に作り直されたということができます。なお、5)〜7)の「初めて」という意味は極めて重要です。
東洋医学は次のような考え方をします。まず、『人は、食物や日光・空気中に遍満する自然の働きを体内に取り込んで自己の生命力に転換する。この力を全身に満ち渡らせれば健康になる』と考えます。
この自然の働きを東洋医学では『気』と呼び、身体の秩序を保つ働きがあるといいます。気を「有序化」と説明する場合があります(黄美光氏)。物理学的には「エネルギー」ではなくネゲントロピー類似の概念と考えられます。
気が流れるルートを『経絡』と呼び、経絡の働きが良くなれば気が滞りなく流れて全身に満ち渡らせることができます。気が滞りなく流れて全身に満ち渡れば、身体中の秩序が正しく保たれます。いつもこのような状態であれば自然治癒力はどんどん強くなります。
漢方も鍼灸も主に病気の治療を行います。文字通り、気に関連した病態を扱うことが主たる目的です。一方、気に関連した病態以外の病態にはうまく対処することができません。それでは、気に関連した病態以外の病態とはどのようなものでしょう?